レーザーカッターを使って積層方式で立体物をつくる
レーザーカッターは板みたいなものを2次元的に切断して形を作るマシンで、3次元的なウサギの形を一発で作ったりすることはできません。しかし使い方によっては3次元の立体物を作ることができます。
それは「積層方式」といって、立体物のデータを輪切りにし、それぞれの平面のパーツをレーザーカッターで切り出して積み上げるという方法です。
層を重ねていくという意味では3Dプリンタと同じ方法ですが、木の板などを使うため3Dプリンタに比べて積層ピッチ(1つの面の厚さ)が厚くなり、なめらかな表面は再現しにくいです。表面ががたがたになります。(作るものが大きいほどこの問題は解消されます。)
3Dプリンタで大き目のもの(20㎝超)を作ろうとするとお金も時間もかかるので、安価・即席で大き目の立体物をつくるにはこの方法がぴったりです。
ただし、パーツを自分で組み立てないといけないので多少の手間はかかります。
<積層方式での立体物の作り方>
lllustratorのファイル(.aiファイル)を読み込んで加工するタイプのレーザーカッター向けのやりかたです。
今回はSculptrisでつくったこのモデルのデータを使います。
(節約のため、中抜きをして背面を削除しています。)
①データの読み込み
まずレーザー加工するための輪切りのデータを作成します。
stl形式の立体物のデータを用意し、Autodesk「123DMake」で読み込みます。
②モデルの回転
モデルが横向きに出てきました。輪切りにするときは、この向きで水平に輪切りにされます。この場合は足から頭までをまっすぐ切ることになります。健康診断のときの切り方の向きとは90度違います。
モデルが立った状態で水平に切断されて欲しいので、向きを変えます。これは後から変更することもできます。
ウインドウ左上部にある、クリックしたら回転しそうなところをクリックします。(丸い矢印のボタン)
回転しました。
③加工素材の設定
次は左上部にある「Manufacturing Settings」で、実際にレーザーカッターで加工する素材の設定をします。
ここのプルダウンメニューにすでに使用する素材の設定があれば、それを選べばOKです。
ない場合は新しく素材の設定を作ります。
えんぴつマークをクリックして設定画面を開きます。
左下のプラスマークをクリックして新規設定を作成します。名前をクリックすると名前を変更できます。
あとは、右の欄のUnits(単位)を合わせ、素材の縦・横・厚さを測って入力すればだいたい大丈夫です。より高度なことをしたい人はそれ以下の欄についても、英語の意味を調べて入力してください。僕はいじっていません。
④モデルのリサイズ
加工する素材の設定が終わったら、次はモデルのサイズを決定します。
これもまた単位を好みのものに合わせ、希望のサイズを入力します。
その下にあるボタンはよく意味がわかっていません。なのでそのままです。
⑤輪切りにする
次に「Construction Tecnique」から、「Stacked Slices」を選択します。すると先ほど設定した素材の厚みに合わせてモデルが輪切りにされます。
画面右に作成された輪切りのデータが表示され、パーツ数とシート数(素材の数)が表示されます。
⑥データのエクスポート
これで問題なければ、「Get Plans」からsvg形式でエクスポートをすることで加工のためのデータが手に入ります。
出力するファイル形式を選択して「Export」をクリックするとデータをダウンロードできます。(Autodeskのアカウントが必要です。)
EPS形式のファイルはIllustratorで読み込めます。あとはレーザーカッターで加工できるようにパスの設定を変更したら、データは完成です。
あとはレーザーカッターでパーツを切り出し、接着剤で積層してモデルを組み立てましょう。
パーツの積層位置がわかりにくいというときは、123DMakeの「Assembly Steps」で積層の様子を1ステップずつ確認しながら組み立てていくといいと思います。
<うまくいかないとき>
[その1]
「Stacked Slices」で輪切りにしたとき、画面右にシート枚数が0となり、パーツのデータが表示されないときがあります。
左上に英文が表示されでなにかがダメだと言われているようですが、よくわかりません。
このときは素材の厚さを変更(より厚く)したら直りました。
[その2]
モデルを輪切りにしたときのサイズが、設定した素材のサイズを超えているとエラーがでてデータが作成できません(たしか)。
そのときは仕方なくモデルのサイズを変更するか、モデル全体が小さくなるようにカットするなどして一部を修正しましょう。
でかいレーザーカッターとでかい素材を使うという手もありますが、なかなか選択できません。
[その3]
モデルによっては、設定された素材の厚さでは十分な接着面を確保できないパーツが出現することがあります。モデルに薄い部分や細い部分があるとき、または積層ピッチが大きい(つまり素材が分厚い)ときに起こります。
まだよくわかっていませんが、123DMakeの画面で灰色ではなく青く表示されているパーツがきっとそれです。これはおそらくデータを獲得することはできますが、レーザー加工して組み立てるときに「これくっつかないよ」となって気づくので、画面上でよく確認して、必要に応じて設定を変更したりモデルを修正してください。
一番危険なのは、全パーツが青く表示されている時です。パーツが全部同じ色なのでそれで正解だと勘違いしがちです。(本当は全部不正解です。)
とりあえず以上です。いっぱい立体を作ってみてください。